熱き夜に響くは
坂本瞳子

静まり返った真夜中は
墨で塗り潰したような
黒一色の闇が広がる

空の遠く向こうに
冷たい月が仄かな光を
放ってはいるものの
地上のすべては熱気に包まれたまま
静けささえも暑苦しいのに

誰かのクシャミが大きく響く
こだまさえも聞こえている

こんな夜の夜中に
この暑さの中で
一体どこのどいつが
夜道を彷徨いているというのか

ねぐらを探している悪魔が
あまりの暑さにやられて
熱帯夜のど真ん中で
方向を見失ったとでもいうのか
そういうことにしておいてやろう

そんな悪魔を道端で見かけたら
背中に蹴りを思いっきり入れてやるけどな


自由詩 熱き夜に響くは Copyright 坂本瞳子 2018-08-03 21:22:23
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