微笑みの部屋
秋葉竹


そんな夜も眠ったほうがいい
旅立ったあの女の部屋は荒れはてて
酔っぱらいの方言で
意味不明な尊い言葉が
炙り出されて
真っ黒に縮こまっていたあとが
ゴミ箱に投げ込まれている

まったき、
好きという感情の正義さ加減と来た日にゃ
否定することさえ
罪に問われそうな清純をふくんでいるかな?

これから
触ってほしいとか、いうなよ?
どこにも、
あなたを心地良くさせるツボなんか
ないんだから
黒い感情は抑え殺して
リバースさせて
わざとらしいほど明るい空色の声を
出しましょうか?

壊れない矛盾、
光らない片恋、
溢れない悲鳴、
輝かない星座、

ひとさし指をひとでなく
夜空をさす指とし
極星を指さす


闇に吸い込まれ
間違っていたふりをしても
どこへも逃げられない

逃げず立ち向かった日々の勲章が
あなたの胸にきっちりと
縫いつけられている

その答えは?

隠されていた真実があるって聞いたのは
すべてが終わったあと
あの部屋の後かたづけをしているときだ


だれもやさしい人などいなかったけれどね、
だれも限られた時間を精一杯いきていたんだよ
呆れてみせる、微笑みのまねを
とても上手に、こなしながら、ね?





自由詩 微笑みの部屋 Copyright 秋葉竹 2018-07-27 22:26:48
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