さびしい都
塔野夏子

私の中に
さびしい都がある

そこでは多くの人が行き交うけれど
皆どこかさびしい瞳をしている
そこここで交わされる会話にも
どこかしらさびしさがにじんでいる

街角の光景も
どことはなくさびしい
街路のにぎやかさも
そのにぎやかさがさびしい

時にきらびやかなパレードもあるけれど
そのきらびやかさがさびしい

さびしい都は
いつから私の中にあったのだろう
気づくとそこにあって
少しずつ広がりを増し
人の数も増えているようだ
つまりは その都のさびしさは
増殖をつづけているのだ……

このさびしい都を抱えて
さびしさを増しつづける都を抱えて
歩いてゆくしかないのだろう 私は
さびしさのざわめきを内に聞きながら
ひとりの さびしい人として




自由詩 さびしい都 Copyright 塔野夏子 2018-07-23 11:31:10
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