きらめく深づめの記憶
田中修子

文字の海に溺れる
すべて かつての
少年少女

酔い醒まし
夜を仰げ

幾百の
まなざしは
三日月を交わし
空たかく白色にまぐわい
しいか宿る卵から
乱反射する
燦燦の
万葉の
衣ずれの音が
また
うまれだされることを

けっして叶わぬ
ときめきよ
宿れ
うしなわれたひとにこそ
孕め

つやめく黒の夜を
あおげば
勾玉のよう

きらめく
深づめの三日月


自由詩 きらめく深づめの記憶 Copyright 田中修子 2018-07-22 19:43:39縦
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