いつの日かこの短歌たちを読み返す僕が笑ってくれますように
水宮うみ


もういいよ善とか悪とか正義とか公園のベンチでビスケットを食べよう



味気ない今だとしても生きてれば星の綺麗な夜にも会えるさ



入力の速い彼女はいつだってタンタカタンと短歌をつくる



気分屋で言葉を解さぬ飼い猫とじゃれてるときだけ本当の僕



ことばってナイフになる日もあるけれどときには優しい毛布にもなる



ひとりでもへっちゃらさってひとりごとつぶやくくらいにひとりはつらい



君たちもいつかカエルになるんだよ五線譜に並ぶ四分音符たち



あの歌が僕の両耳を心ない言葉たちから守ってくれた



足掻いてた日々を心のまんなかに詩集みたいに大事にしまう



暗闇を生き抜いてきた僕たちは夜を彩る星になるのさ



「数学は分かんない」って言う君が何故か答えを持ってる気がする



僕の手を優しく包む君の手は四月のようにひかりを纏う



平日の朝も憂鬱じゃなくなった 学校に行けばあなたに会える



空き時間埋めろと人は言うけれどぼんやりするのが幸せなのです



田舎道ふと見上げれば星空が都会みたいにきらきら光る



少年は青空と君が好きだった 君の口笛で夏が始まる



昼寝する君が茹で上がらないよう団扇でそっと扇いでる夏



宿題が終わっていないこんな日も世界がキラキラしていて憎い



大好きなバンドが解散しちゃっても生活は続く僕達は生きる



寝転がり読書をするという幸福栞を挟むの忘れて眠る



君のことなにがあっても絶対に…! ここで一旦コマーシャルです



もう君のほんとの笑顔見れないなプリクラだけしか残ってないから



「別れたくない」って言えなかったから僕は優しい人間止まり



わたしたちあたたかい光いつだって浴びているんだ愛されている



これから先なにがあっても大丈夫君は笑顔の才能がある



行く末に無関心ではいられない死についていつも話したがる祖母



数学が嫌いな彼女は数学に殴りかかっていっつも負ける



最悪な世界の終わりみたいな日もいつか思い出に変わっていくのだ



好きすぎて頭がどうにかなっちゃいそうアイスを食べて恋熱冷ます



ネッシーを一緒に目撃するとかで君と特別な仲になりたい



はにかんでピアノと遊ぶ君という天使がいるから天国はここ



短歌 いつの日かこの短歌たちを読み返す僕が笑ってくれますように Copyright 水宮うみ 2018-07-22 10:36:26
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