その頃棲んでいた借家には
こたきひろし

あの頃棲んでいた借家には夜な夜な鼠が現れた。
一匹だったけど煩くて仕方ないから薬局でネズミホイホイを買ってきた。

俺は「ゲゲゲの鬼太郎」の中で鬼太郎よりもねずみ男が好きだった。
彼は世俗の象徴だったと思ってしまった。
世間にはねずみ男やねずみ女が蔓延ってしまうのが正解で、鬼太郎は絶滅のシンボルに違いないと結論づけていた。

当時の俺は溝鼠で家のなかは腐ったごみ箱のようだった。
本当の鼠が寄って来るのは自然の生活だった。

溝鼠は鼠に寛容で有るべきだが、人間のマスクをつけていたのでそうもいかなかった。罠にかかった鼠には毒を食らわせて闇の奈落に突き落として差し上げまた。


自由詩 その頃棲んでいた借家には Copyright こたきひろし 2018-07-22 09:01:33
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