硬派
万願寺

星の死がいつまでもうつくしいってのは
人間のかんかくで勝手にいっているだけで
おなじ星同士からみたら
けっきょくねえグロテスクきわまりないだろう
人間はいろんな色やひかりに
わりあいなんでもクントウを受けてしまうたちだから
なんでかってえと
星は人間を活かすものだからだろう
星の光でしか人間は生きながらえないから
無条件に星の光に幸福してしまう
星は人間のしたいが
腐り、渇き、砂粒になっていくのを
美しいとおもうだろうか思うわけない
即答できる
だけれど
ひからない星、おれたちの地球、この土
かれだけは黙ってまた自分と人間が宥和するを
許してくれる
人間がばかみたいに光る星にあこがれているよこで
この星はうつくしくもない人間を食べてくれるやさしさ
ねえわたしたちはみんなあなただよ
あなたも光る星に育てられたね
うつくしく思う?
地球は矜恃にかけて応えないだろう
あんな親など、あんな親など、ゆるせるはずがない
にくんでいる
こんな生をあたえやがって
人間やタヌキや樹やエアコンやペンキや塩水を
からだじゅうに生やすことになったじゃないか
生まれたくなかった
生まれたくなかった
しかしおそらく自分が死ぬ時
全くうつくしくはないだろうことはわかっている
絶望ではなくて諦めでもなくて反抗でもなくて
だれかにうつくしいなどと思われない星の死こそが
星の死だと
かんじているから
なんだかずいぶん
人間みたいな考え方になっちゃって


自由詩 硬派 Copyright 万願寺 2018-07-22 01:02:56
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