ミナト 螢

立っている
風のないブランコの上で
身体に巻き付けた鎖の鎧

もう抱きしめたり出来なくなった
誰かの抜け殻に熱を上げて
錆びた鎖には映らなかった
思い出の日々を揺らし始める

砂時計をひっくり返して
愛の言葉を半分に分けたね

悪いこと何ひとつしなくても
人に好かれるのは難しいから
名前も解らずに摘んだばかりの
綺麗な花で目立とうとしたよ

夕暮れに馴染む服を着ていたら
沈まなきゃすぐに怒られてしまう

ブランコが描く寂しい孤の音
物語を鎖に繋いだまま
汚れたステージをひとりで降りた


自由詩Copyright ミナト 螢 2018-07-21 15:34:13
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