無題
◇レキ

無意味に星が光ってる
無音の中に光ってる

無意味に地球がぐるぐる回る
特に変わらず回ってる


だから無駄にブルブル言わせて走る
無駄にでかい声でしゃべってる
にいちゃんねえちゃんにがんばれって思う

だから同じ値段でどっかの子供100人救える煙草を買って
無駄に煙にすることには意味がある

だからなんか生えてる緑を見ていたい

だからサグラダファミリアは未完成であればいい

だから沢山死人が埋まってる地蔵だらけの塚に小便をする

だって僕らは生きているんだもの





僕は一番星をそっと見るんだ
空が突き通ったようにどこまでも広がっている
薄雲がなだらかに空を支配してゆく…

僕は一番星をそっと見るんだ
この果ての無い空を地べたから そっと見る

食い尽くされた体だなぁ
一歩も動けず動かせないで

あまりに広がりすぎた
過去の肉達は
そこいらじゅうに散らばる空気に溶けて…

この途方も無い絶望に
この途方も無い飢えに
柔らかに風が去ってゆく

このたった一人の幸福は
世界からの賛美じゃないの
あまりに広がりすぎたからなの…





  煙草の煙が尽きるまで


世界がさぁ
おいしいかいって聞くからさぁ
殺したいって小さく呻くの

世界がさぁ
ふふふってわらうからさぁ
あははって笑い返すの

世界がさぁ
嘘みたいに在るからさぁ
きりきりと歯を食いしばるの


ねぇ これは
僕だよねぇって聞いてみた
遠くに見える 風景を掴んで

そしたらさぁ
世界はさぁ
馬鹿みたいって風景を
ころんって転がして、消しちゃうの


えぇっそうかって苦笑いするでしょ?

そしたら世界はちょっと窮屈そうにざわめいたりしてさぁ…

甘い 甘い
おしゃべりの時間

きっと沢山の不確定が君で
僕が見たとき君は僕以外になれないのさぁ
だって、僕が見ている君だもの





久しい木漏れ日見上げれば
他の人を呼ぶ声がする

奥に見える青空に

もうないね
もうないの

もうないの?

ごう と風
木漏れ日揺らせよ


自由詩 無題 Copyright ◇レキ 2018-07-21 08:02:49
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