胃癌くん
八木ヒロマサ

胃癌くん
わたしの肉体を蝕む
胃癌くんになら
なんでも
話ができそうな気がするよ

なんせ、わたしの
死、を握ってるのだから
事故や事件に巻き込まれて
死ななければ、

胃癌くん、が
わたしの体内で
死、を突きつけてくるよね

だから、胃癌くんには
わたしの全てを
晒そう。

闘いながら、
共に、胃癌くんと
仲良くなれれば と
願いながら

痛み、恐れ、不安を
乗り越えてみせるよ

わたしが生き抜く。そのために

胃癌くんは、わたしに
教えてくれる

生きる大切さ。

心配してくれてる人達への
感謝。

わたしは、こんなにも
幸せ者だったのか、と

改めて、知らされ

生きる喜びを教えられた。

肉体とは、誰もが いずれ
お別れしなくちゃならない

最期は悔いなく、と言うけど

ほんとうに悔いなく、逝けるのか

闘い抜いて、抜けるような

青空に染まって、とびっきりの

笑顔で、我が人生に悔いなし。

で、白い灰になり

さようなら、と自分に叫ぼう。

それまでは、好きなことを
おもいっきり楽しめばいいさ。

自由に、縛られることなく

ねえ、胃癌くん。


自由詩 胃癌くん Copyright 八木ヒロマサ 2018-07-19 11:20:19
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