夏電車にて
藤山 誠

景色はぼやけてはっきりせず、
もう夕方なのにこの電車から降りれないでいる。

手の中で蝉の抜け殻がクシャクシャと潰れて、
自電車ごと川に落ちる。
そうめんはどろどろに伸びていて、
五百円玉からは金属の匂いがする。
だれもいない公園とくだらない図書館と、
今じゃない祖父の家。

大人はとても楽しい。
父は老けてく。


自由詩 夏電車にて Copyright 藤山 誠 2018-07-18 02:06:02
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