イノセント
ミナト 螢

君の代わりに抱きしめるカーテン
薄いレースは白く軽やかで
向こうの世界が透けて見えるから
触れると熱くて破れそうになる

窓際にやって来る風の唄や
耳を当てると何かが聞こえて
レースの擦れる柔らかい音が
僕の腕の中で強く軋む

眠る想いを重ねたレースは
カーテンレールを外した後で
頭を撫でたり髪をとかしたり
ウェディングベールみたいに飾って

光の分だけ長く伸びたら
君の影を連れて歩きたい


自由詩 イノセント Copyright ミナト 螢 2018-07-08 14:35:06
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