ジャック
腰国改修

子供が飢えた狼は好きなら保父にはなるな言いました
切り刻むのがジャックは好きなら外科医になるな
言いました
歌うのが好きならばカナリアは歌手にはなるな篭の中で
言いました或いは鳴きました
不平不満を言うなら喋らぬ仏像は蝿になれと言いました
あの女は泣いていました振りかざすなら何を?
運動家にはなるなと、そして多分泣いていますね
憐れみが欲しいならジャックに頼みなさい
手か足か或いは両方を。
courseから外れた気分はどうだい?
もの乞いの誇り
もの乞いの憐れ
もの乞いの紫の紫陽花雨に濡れて
希望を抱くなら美しい女教師は宇宙飛行士になるなと
チョークを力で折りながら『絶対』と書きながら
悦びに震えて顎髭の長い口のない男神とキスを
草臥れた気分さどうしたものかなあ?
つまりは俺の隣の女がなるなということだよね
好きならば好きなことを仕事にするな
俺の隣の女が目を見開いて俺を見た
濃霧が音を吸収したからかしれないけど
幾つもの揺れる鐘の音は切ない
俺はやはり気がつくと分かっていた
自分が誰なのかと言うこと
俺の名はジャック誰も知らない
俺は詩人になりたいのなら
善人であることを捨て去って裸のまま
次の女を探してその下腹に
ジャックナイフをあてがってみろ


自由詩 ジャック Copyright 腰国改修 2018-07-05 23:32:04縦
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