かぶと虫
春日線香

いい大きさの箱の中にかぶと虫を詰める仕事をしている。それは静かな夜明けから始まり、広い屋敷の片隅の部屋でたんたんと続けられる。まれに庭から吹き通る風にあおられて、箱が倒れて中身がこぼれてしまうが、また丁寧に元通りに箱を仕立てていく。そんな時はかぶと虫も死んだようにおとなしくしている。


自由詩 かぶと虫 Copyright 春日線香 2018-07-05 19:00:06
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