あっても
ねなぎ

ふと
首から
肩にかけて痛みが広がり
ゆっくりと左側が痺れてしまって
頭までぼーっとして来て
呻く事
約三十分

左右に揺すると
音がするようになってしまったので
どうにか成らないかと
ドライバを持ち出して
姿見で背面を見ながら
分解を始めてみたのだが
収まらるどころか酷くなる事
それから
二十分後

取り合えず
肩では無いかと
解かりやすく僧帽筋と
三角筋の隙間に
マイナスを差し込み
持ち上げるように
上腕骨頭に角を立てながら
手探りで差し込み
オープナーで固定し

棘上筋や
棘下筋と小円筋
肩甲下筋を当たってみるが
刺激を受けての短縮ばかりで
見当たらず
緩みも見当たらない

鎖骨の隙間から
肩甲下筋を確認しても
歪みはあるが動作保障の
範囲内だろうと
勝手に決めつけ
そのままオープナーを
斜角筋に滑らせていく事
約十分
諦める事
それから
三分

とりあえず
なんとなく
そこら辺を
探してみる

頚椎と椎間板も
ゲージのリーフで確認はしてみるのだが
規定の範囲内で
反射は起こるが
問題は確認されず

損傷は無視して
とりあえずのズレは
ラジオペンチで調整しておく
脊椎動脈を傷つけないように
ラバープロテクタントで保護し
脊椎には
潤滑剤を流しておく

更に上にマイナスを差し込み
下頭斜筋・大後頭直筋の
接続を確認して

ふと
環椎辺りで指を掠め
何かが床に転がった
拾って見ると潰れた平ネジで
ネジ頭が潰れてなめてしまい
プラスで当たらない
指で押してみたが
ネジ穴も見当たらず
回しても
押し込めもしない
ギリギリの所で
それ以上
腕の関節が広がらず
汗だくになりながら
手探りで探す

気がつけば
ネジを手にしたまま
固まっていた

ふと
気がつくと
音はしなくなり
何となく
可動を確認すると
動作には問題が無かったので
取り敢えずは
組み上げた

でも
未だに
手の平の上のネジだけが
ある

諦めること
二秒


自由詩 あっても Copyright ねなぎ 2018-07-01 14:55:57
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