さよなら
まみ

あなたは僕を待っていた白いシーツの上で
電話も出来ず声も出ず
赤子の声を嫌い痛みを敵のようにしていたあなたが
ただ僕を待ちながら天井を見つめる檻の中で闘っていた
あなたが望んだ最後の望みは僕と会うほんの砂のような時間
そしたらさよなら

毎日のように触れていた命を失う時
あなたのようになれなかった僕を
じっとあなたは待っていた
きっと想った願いは流れる星屑のようにあったろう
僕が行く前の日まで何の助けもさせず
プライドが杖で引きずるように彼を歩かせた
そして器用だった指で彼女にありがとうとくっきり書いた
僕を見たあなたは自分の人生の中に
混沌とした痛み止めの幻覚と渦の中に
そしたらさよなら

あなたは僕に話しかけた声なき声で

そしたらさよなら
僕が生まれて覚えたあなたは去っていった
叱ったのも褒めたのも
励ましたのも慰めたのも
憎んだのも愛したのも
僕の全てが去るまであなたは終わることができない

そしたらさよなら
僕が僕に言うまで


そしたらさよならってね



自由詩 さよなら Copyright まみ 2018-06-30 04:10:13
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