黒い雨
こたきひろし
可笑しくて笑ったんじゃない
悲しくて笑ったんだ
悲しくて泣いたんじゃない
さびしくて泣いたんだよ
心に出来た腫瘍は染みみたいに広がって
もはや治癒を見込めないだろう
火種は湿気てしまい
病んでしまい
少しも燃え出さない心は
冷たい風を孕んだ荒れ野
夜がとばりを落とせば黒い雨が降りだすだろう
まるでコールタールのような雨が
しるべのない道を
真っ直ぐにあるいてきたつもりだった
のに
ねじれた心は曲がりくねって
しまった
可笑しくて笑ったんじゃない
悲しくて笑ったんだ
悲しくて泣いたんじゃない
さびしくて泣いたんだよ
自由詩
黒い雨
Copyright
こたきひろし
2018-06-23 06:17:35