レイン
石瀬琳々

海鳴りとは違う何か


僕の胸の裡で雲のように高まり
やがて激しく満ちてゆくもの――レイン
耳を澄ませば走ってゆく
樹々の隙間から見た青い空に
今しも雲が 鳥が羽ばたき
まるで君の心のように触れてゆく
指先が濡れてゆく
あれは君の瞳か――レイン
手を伸ばしても届かない


海鳴りに似た何か


とても遠い何か


きっと溺れてしまう前に
僕は息継ぎをする
僕は目を閉じる






自由詩 レイン Copyright 石瀬琳々 2018-06-13 21:02:39縦
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