初乞い hatsu-koi
胞衣

窓の線上に蒼い列車の
君がそっと人差し指を置いた
あの時の僕の血の脈を君は
どこまで憶えててくれる
雨が止まないよ

ドアを叩いて埃でむせる
布と布の隙間に君との約束
するどい痛みを僕は憶えてるから
溶けて触って刺してくれればいい
気の済むまで 赤く

ハコの中で鼠を数えた
僕の中にも一匹
捕まえようとして
君は泣いて
泣いて
気が付けばそっと殺してたんだ
温かい夏 酷く

待っててあげて
映画をみよう
君がみたいと言った 僕は
終わりを知ってるけれど
手は握っててあげる
最後まで ずっと


自由詩 初乞い hatsu-koi Copyright 胞衣 2018-05-30 23:45:35
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