白あおぐ白
木立 悟






植えても植えても
分かれるもの
内に 内に
入り込むもの


誰かのためにと始まったのに
そこに自分は居なかったのに
小さく小さく
ひらいたもの


光を見すぎて影になり
ただ水の回帰を追っている
木枠の内で管の鳥が
人の声でうたっている


霧と光が
夜の径をゆく
側に咲くものが
行方を見つめる


親指が踏みしめる
直線 曲線
見えない原の波のなかを
語りさまよい 語りゆく


砂が 無言を撲つ
語らぬものを
砂は撲ち 砂は見つめ
ゆうるりと抱き 
呑み込んでゆく


水はもつれ 水はつまずき
蒼と火の肌
灰の髪
歩みを重ねる光の筆


どこまでひらき
どこまで裂くのか
庭が庭に動くとき
淡く悲しく ついてゆく影


分けても 分けても
再び戻るひとつの白
秋と冬が結ぶ手のひらに
眠りと目覚めを繰り返す
























自由詩 白あおぐ白 Copyright 木立 悟 2018-05-30 09:21:18
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