クレープの詩
ミナト 螢

三角の家に屋根がないのは
甘い香りを街へ届けるため

少年少女が遥かな距離を行く
原宿はまるで歩行者天国

行列のできるパラソルの下で
肩を寄せ合ってクレープを選び
唇でめくる小説のような
仕草を見れば恋に落ちるだろう

頬の薄い皮膚にキスを重ねる
愛は丁寧な花びらみたいに
何度も咲いては散っていくけれど
生クリームの泡が邪魔をするね

ピンク色の紙を剥がした跡が
ベリベリと空に国境を作り
古いラジカセの音楽がまた
誰かのもとへと旅立ってゆく


自由詩 クレープの詩 Copyright ミナト 螢 2018-05-24 16:13:07
notebook Home 戻る  過去 未来