めぐり あおぐ
木立 悟






波打ち際で
傾いたままの計測器
どこからか
聞こえくるうた


鉄で覆われた窓を
灯の音が滑る
陽の前の静けさ
終わり はじまる静けさ


棘の上の
小さな声
風と粉と
呼吸の蝶


あれはほんとうは
何をはかる器なのか
くりかえす くりかえすもの
ただひとつの響きであるもの


この斜めの 未明の
むらさきの地で
どこまでもひとりの
どこまでもひとつの


知らぬ間に穴を埋められ
痛みは消え去った
星は降りつづけ
海に至る径となった


節々が濡れる
飛沫は止まない
帰ることはあるのか
そのみなもとまで


夜へ傾く
昼と午後の塔
影を浸し
聞こえくるうた



















自由詩 めぐり あおぐ Copyright 木立 悟 2018-05-24 07:20:25縦
notebook Home 戻る  過去 未来