わかれめのないもの
木立 悟







姫 姫 脂
水面の虹
蜘蛛の背の地図
こがねの手足


水紋の下から
空を視る目に
光は廻る
光は跳ねる


夜に満ちる緑の泡が
ひとつひとつ星になる頃
壁の泡もかがやきはじめ
こがねの液をあふれさせる


雨の腕 雨の肩
ゆうるりと水に挿れられる手首
底にゆこうと
のばされる指


避けられぬ自身の成り立ちの渦
ひとつの星が消えずに廻り
光の痛みによろけながら
虚ろな身体を焦がしてゆく


双つの手のひら
雨音 若芽
滴 涙 火
その先は知らない


砂 傷 水 血
痣 声 曇 腕
空が土を 土が空を
揺さぶるのを視る


ひとり ひとり
つながりなくつながる
力の入らない脚
つながってゆく


瞼 瞼 空の水紋
まばたきの音にひらく虹
夕べが消える
明るい水辺に



















自由詩 わかれめのないもの Copyright 木立 悟 2018-05-21 09:29:58縦
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