傷だらけの。
秋葉竹
スタジアムの外に棒立ちして
むかしながらのソウルミュージックを聴く。
風に乗って流れてくる
古びたギターソロの音が、
泣いている。
そういえば
ギターが泣くって、
こういうことでしたね?
ポップコーンをほおばって、
傷だらけの青春に、想いを馳せる。
あのころ未完成な宝物が
目の前にいくつも転がっていたのだが、
そういえば
古びた木製の空箱が
歩いてきた坂道の下に、放り出されて、
無惨な棘を剥き出しにしている。
今夜こころに吹きかう
あたたかく、優しい、ホンキートンクな風は、
ただ、
自由とはなにも持たないことだと、
知らせてくれた風と同じ匂いがする。
自由詩
傷だらけの。
Copyright
秋葉竹
2018-05-20 20:24:56