こおり/朝の空/鏡
田中修子

考えてみたらあたりまえだけど
詩をかくひとにも
なにかしら毒のようなものをまとう
ひとがいた

目立ちたいひと
偉くなりたいひと
人を貶めたいひと

なんだか
スンと
さみしいきぶん

澄んだ
冷たい
こおりになって
嚙み砕かれたい


/

詩人と名づけられたとたん
わたしはなにもかも
分からなくなってしまう

それらしきものに変化するのは
むかしからとても得意だった
そうでなければ生きられなかった

いい子になる
優等生になる
職場でいちばん頑張っている人になる

なりきったとたん
つかれてしまう
そしてわたしは
言葉の浜に
うちあげられた

私はただの生きている人

ひとりぼっちなひと

風が鳴る
空が青い

朝の空がにがてなのは
なにも隠せなくてこわい

/

ことばが好き

すべてを反射して

醜いわたしも
戸惑うわたしも
ごまかせない

本日
ことばは



わたしはだれ
冷ややかに
じっとみいる
わたしの顔を映す

自分を偽るなと

わたしがわたしをはたいた


自由詩 こおり/朝の空/鏡 Copyright 田中修子 2018-05-20 01:34:21縦
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