行き当たりばったり
こたきひろし

一点の曇りない空から 一点の落下物
一羽の鳥が著しく体調を崩して飛ぶ力をなくした
深い河の水面は細波 そこに落ちて水没した

河に架かる鉄橋 電車が渡っていく
満員の車内で扉の近くに立っていた彼女は
見ていた
黙って見ていた

男はそんな彼女を盗み見ていた
同じ駅から電車に乗って
同じ車内に何度も乗り合わせる事があった

一目惚れってあるんだな
最初に見たのはいつだったかは忘れたが
気がついたら意識していた
それは
だらだらと繰り返される日々
その中に見つけた一輪挿しの花を
抜き取りたい
男の欲望
かもしれなかった


自由詩 行き当たりばったり Copyright こたきひろし 2018-05-19 07:01:58
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