小鳥と少女の呟き
田中修子

ひさしぶりに
そうして
はじめて
おともだちとあって
懐かしいように
つばめグリルでごはんとお茶をした。

三時はなんだかさみしい
おひさまがさがって
夕暮れがくるから
おわかれ
淡いピンクや金にきらめく頬をしてみとれた
人にたくさんみちを譲ってきたひとの
優しい皺をしていた
わたしたちはくすりを飲んでいる。

からだを
ことばに
ゆだねるみたいにして
綴ること
わすれることのありませんよう
自分の音色で
囀りたいんだ。

広いお城でひとりぼっちでいた
少女は
鳥かごに入れられてひとりぼっちだった
小鳥と
おともだちになりました
ふたりは詩でギュウっと
手をつなぎました。

「being いま生きているということが 神さまなんだよ!」
ああ、小鳥のような声が
耳元に
きこえる。

うれしくて
泣きながら
ふといままでこれまで
あなたをわたしをとおし
見てきた
感じてきた
もの世界中すべてと
ほんとには手をつないできたこと
気づいた夜中の卓上ライトのオレンジいろ。

まじめに詩を書かねば生きられないような人が目を惹く時代は
たぶん むなしい さみしい 時代です
どこにもよりどころのないひとが
言葉の上にやさしい かなしい 秘密基地を編むしかない
これからおそろしいことがくるかもしれない
だからこそわたしは平穏を連ねよう。

わたしは
あなたに会えました。

そんなちからが
詩にはありました
それはあなたです。


自由詩 小鳥と少女の呟き Copyright 田中修子 2018-05-17 00:33:46縦
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