万華鏡
ミナト 螢
ハイヒールで潰して来たのは
缶ビールと誰かの靴紐だ
すれ違う瞬間に与えられた
不安定なバランスを生きるまで
目標に向かう足元を見ると
スニーカーの人には敵わない
若くて尖った勢いのある
唇はやがて口紅を剥がす
涙の温度を思い出すだろう
針でリボンを刺すように止めた
誰かの時間を奪いたかった
そして踵が痛くなる頃に
新しい道を選べたら良い
サクマドロップスの缶を開ければ
色とりどりの星が落ちてくる
一粒ごとに名前を付けながら
掌で転がす遊びがしたい
自由詩
万華鏡
Copyright
ミナト 螢
2018-05-16 16:45:49