しょうけら
ねなぎ

僕等は虫かも知れない


モニターを見続ける事
どの位になるだろうか
眠くなって来ているのに
目を離す事が出来ない


爺さんが嬉しそうに出かけたので


画角からピントまで合わせて
フィルムの窓の隙間から
ピンホールを差し込む


今日はショウケラの日らしい


どこにでもあるような看板の
とある出入り口
これまでから
この場所に入るのは
予想済み


後ろで婆さんが


路中の工事車両の
軽バンに見せかけた
車の後部座席


飲み過ぎないでと話している


人は同じ場所を使う
習性がある
通い慣れた所へと
足が運ぶ
それは後ろめたさがあれば
尚更だろう
問題は何時に来るか


僕は爺さん見上げて


残業との連絡が入った事は
確認済み
あとは証拠を
抑えるだけとなっている
報告書に写真が無かったら
それは何の価値にもならない


何か悪い事をしたのか尋ねたが


肩を抱く
男の姿を
画面越しに捕らえられるように
バッテリーは
未だ持つはず


爺さんは笑っているだけで答えてくれなかった


合わせてあるピンに
落とし込むように
回していく
残りの容量を確認しながら
じっと息を押し殺す


今日は
しょうけらの日
眠ってはいけない


自由詩 しょうけら Copyright ねなぎ 2018-05-15 03:00:43
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