コード:オリオン
日々野いずる

電気のシャワーを浴びて光る髪の一筋まで
空調に揺らぐ足元の湿気
リノリウムの床の隙間に覗く闇

自分の揺らがなさを試してみたことはある?
頭は?体は?それはどこまで?
コペルニクス的転回を支柱にして
果てのないオリオンまで走っていきたい

手を見て
手を見て

手の中に広がる皺は
宇宙と似ているんだよって笑った君が
世界はこんなにちいさい、って言った君が
委縮して縮こまっている

電子の揺らぎにバグは起こらない
指定された乱数に踊らされて
私は酷く乱高下する

ばつん、ブレーカーが落ちる、夜がくる
君の声がこだまする
「コペルニクス的転回はどこへいくの?」
一人うなだれ
立ち尽くす私の背を撫でて
「それでもオリオン座にいくさ」って
声たちはだんだんと先へ進んで
置き去りになった私、君の方も

存在だけ、存在だけ
その暗がりで吹きだまる



自由詩 コード:オリオン Copyright 日々野いずる 2018-05-14 22:34:03縦
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