あぶない橋を
こたきひろし

あぶない河の上に何であぶない橋を架けるんだろう
背もたれの壊れた椅子にあえて寄りかかるみたいに

私は何かが欠けていて 何ひとつ充たされてはいないから
あぶない河の上に架かる橋を渡たろうとする存在なのだ
幾千年の歳月を遡り 幾光年を遠ざかっていく私は
宇宙をさ迷う塵にも値しない

妄想の中では亡き母親の首をしめて殺し
妄想以外では母親の焼かれた骨を噛んでしまいたかった

あぶない橋の途中で私は磁石をなくし かわりのコインは見つからなかった
ひたすら支離滅裂の感情の中では
途方に暮れるしかなかった


自由詩 あぶない橋を Copyright こたきひろし 2018-05-13 20:25:37
notebook Home 戻る  過去 未来