遠くまで来て
狩心

ここに来る必要はなかった
元いた場所で充分だった
けれど
そういう考えがある種の
逃げかもしれないと思って
必死に
ここまで来たけど
ここではなかった

数々の過程の中に
やり直しが効かないほどの
愛の蓄積があって
もはや
それらから
逃れられない

その哀しみがとても重くて
ひとりの食事中に
物思いに耽ってしまう

ほんの少しの希望の為に
沢山の苦しみを抱えてきた

いまここである事に
代わりはないのだから
肝を据える他無い

これからまた
1を得る為に1000を失うことになる
それを恐れていたら
生きる事はできない

人生は一度ではないから
運命を受け入れなさいと
神の声が囁く

世界とイコールだった私が
いつの間にか
世界の一部になる


自由詩 遠くまで来て Copyright 狩心 2018-05-12 14:13:06
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