燕よ
そらの珊瑚

まぶしいのは
ずっと目を閉じていたから
そこは優しい闇に似た架空世界で
行こうとさえ思えば深海にも
宇宙にも
過去にだって行けた

あのスカートはどこにしまっただろう
青い水玉模様
くるくる回れば
小さな隠しポケットの奥底で
飴玉がかささと謳った

芽吹きの気配はいつのまにか隣に来ていて、だから
一年ぶりに目を開けてみようと思った

生まれたばかりの柔らかなみどり葉

空を目指して
風に震える
現実は
指で触れれば千切れてしまいそうな
光まみれであることに驚く

そして雨上がり
燕よ、燕
低く鋭く飛行し
なにものにもぶつからないことが
魔法みたいに
ただまぶしいから
まばたきを繰り返して
わたしは長かった夜を忘れそう


自由詩 燕よ Copyright そらの珊瑚 2018-05-09 10:12:39縦
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