花は
こたきひろし

道ばたに咲いていたのかも知れなかった
ずっとずっとずっと前から
細くて狭い道は車一台が通るのがやっとだった
下手をしたら車輪が道から外れて土手下の畑に落ちてしまいそうな道
一ヶ所誰かが植えた可愛い花が咲いていた

気づいてたけどいつも車で通り抜けてたからね
休日に散歩していれば良かった
そしたら足を止めて見つめてあげられたのに

愛しい人はそこに咲いていた花
風に吹かれて寂しそうに咲いていたから
心ない手がむしりとってしまった

でもやっと私と廻りあい出会って
ふたたびそこに咲いていたんだね
私は貴女を手で折ったりしないよ
その花弁を両方の手で包んで守ってあげるから

安らかに咲いていていいよ
愛しい人よ


自由詩 花は Copyright こたきひろし 2018-05-09 07:58:39
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