こたきひろし

昨日今日
雨 以外空から降るものはない
雨の嫌な匂いが
眼から耳から口から 体中の皮膚から容赦なくしみこんでくる
雨が降る度にそんな風に感じるのは
何も私だけじゃないだろう

車のハンドルを握る手が湿って
ひっきりなしに動くワイパーの先に見えるのは
雨に煙る街
私はいったい何処へ向かうのか聞かれたら
仕事 仕事 仕事
今日は平日の朝 普通に生活するために
ギリギリだけど生きる為には
お金が必要なんだからさ

何が一番に欲しいかって聞かれたら
お金 お金 お金
お金が欲しい
それも大金が欲しい

二番目以降はなんでもいいさ
全てがお金で買えるものだから
もしかしたら
もしかしなくても
愛情も夢も簡単に手に入るさ

だけど肝心なお金が簡単に手に入らない
汗水垂らして、時と場合によっては血も流して
そこまではないか
だけど嘘は多いにつくだろう
嫌いな上司にへつらい 嫌な同僚に気を使い
なんてたって、臆病で愚かな私だから

昨日今日
雨以外降るものはない
札束空から降るわけないさ
もし降ってきたら、それはそれで
無差別に降る爆弾より怖いよ


自由詩Copyright こたきひろし 2018-05-09 07:08:58
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