海の向こう
藤沢




歯医者で名前を呼ばれるくらいの
スピードで人は死んでるらしい。
赤ん坊は泣きじゃくる。
声が枯れる恐ろしさ知らないのね。

砂を集めても宇宙にはなれないらしい。
君の夢の中で僕は死んでるらしい。
近所の老人ホームから呻き声聞こえた。

テレビじゃ
ライオンの檻
みたいに海の向こうの
こと偉い人が馬鹿に
するんだ知らないくせに
知らないくせに。

嫌いだったビールが飲めるようになった時、
急に君を受け付けなくなった。
細い指で僕を拡散するんだろう。
ルーティーンだと思ってたけど馬鹿らしいね。
家族の形が変わっても愛情は未だ伝わらないもんだ。
生活の形が変わっても生き方はほとんど同じさ。

掌に収まるくらい
しか奪っちゃだめ
って決まりがあればなあ。
愛も命も取り合いにならず
空も海も誰のものでもなく。


自由詩 海の向こう Copyright 藤沢 2018-05-07 17:58:06
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