Trip
ミナト 螢

職場のデスクに掛けたカーディガン
華やかな色に埋もれたグレーは
女性らしさを遠去けてくれる
着心地の良い制服みたいだ

自然と集まるグループの中で
どこにも属さず孤立していても
小さなマッチ箱のような街に
憧れと共に居場所を求めた

昼は眠たくて夜に目覚める
大音量のステージの上で
ミュージシャンが奏でる音楽を
スポットライトの隙間からのぞく

まるで世界に魔法がかかって
動かなくなったマネキンの君に
口付けをしても誰も怒らない

瞬きの間に見た夢の国
マスカラが落ちて滲んできたよ

音楽の外に心がズレて
いびつなハートを私は作った


自由詩 Trip Copyright ミナト 螢 2018-05-04 17:12:39
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