ひとつ 夜光
木立 悟





滴を見る
むこうを見る
滴と共に
降る空を見る


景が集まり
ひとつになり
景のなかに立ち
震え 振り向く


狂光 人工
白を引く白
水の背の金
ふちどる緑


光の来た径が川になる
夜を見つめれば夜になり
家にたどり着けないものたちが
壊れた灯の下にたたずんでいる


白い毛のけだものが
枯れ原を過ぎ遠去かる
口に咥えた羽を
目印のようにこぼしながら


海だけがあり
鉄だけがある
白と黒の風と指に
したたり落ちる霧の目がある


雨の剣を土に刺したまま
夜は何処かへ行ってしまった
風は暗く さらに低く
夜の行方を追いつづける


















自由詩 ひとつ 夜光 Copyright 木立 悟 2018-05-03 09:19:13
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