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ヤスヒロ ハル

燃えている
私の魂が
寿命を蝋にして
燃焼している
輝いている

精神が輝くものは
その目を光らせ
その目を光らせるものは
その世界を光らせ
その世界を光らせるものは
鬱屈をかち割って

渋谷を燃やす
新宿を燃やす
池袋を燃やす
吉祥寺を燃やす
街を燃やす
国を燃やす
島を燃やす

誰もが誰かのために
懸命になり
常に思い
譲り、尊敬し
命を燃やし
街に飛び火し、私は詩を書いている場合ではない!
伝えなければならない
作らなければならない
世界に優しい波紋を落とさなければならない


火が消えているものも
限りなく燃え盛るものも
いつかはその火を聖なるものとして
然るべき者に手渡さなければならない

奥歯を噛むときも
だれかを抱くときも
皿を洗うときも
笑い転げるときも
喪主をつとめるときも
表彰されるときも
電車で席を譲るときも
逆に譲られるときも

浜辺の砂を掬うときも
森林の酸素を胸に染みさせるときも
涙がでないほど泣くときも
怒りで吐くときも
喜びで拳を握るときも

誰かに寄り添うときも
誰かに寄り添われるときも
握手するときも
頬骨を平手で叩かれるときも
愛をささやくときも
噴出する憎しみを許すときも

燃やさなければならない!
蝋を溶かして

絶やしてはならない
世界から手渡された火
そしていつか返す火だ

その熱が
時を進め地球を転がしめ
空を焼き
夕暮れを呼び
わたしやあなたを

ただ炎と言う
詩にするのだ

履歴と言う
血の滲む美しい炎!


自由詩 履歴 Copyright ヤスヒロ ハル 2018-05-01 00:00:56縦
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