釣り、夕暮れ
番田 


誰もいない小川に
僕が 釣り糸を垂らしていたのはいつだろう 小川に
冬のある日 釣り糸を
しかし冬の日に小学生だった 僕は一人だった 


だけど 今でも僕は川に釣り糸を垂らしてはいるけれど 
川で隣に立つ人はいないまま 
僕は昔からそうだったのかもしれない きっと
昔からそんなことをしていたと窓の外を見ながら思い出す


休日の釣り場から見えた夕暮れ
風が 涼しくて 乾いていた 夕暮れ
僕は 風に この瞬間を生きていることを そして 自覚させられた 
しかし遠くで竿を振るう人の姿が僕にはそこから見えたのだ


一見して誰もがあきらめているように思えたのだ しかし 僕は
僕のそんな雰囲気のする 暗い夕暮れを 一見して
そして 歩きだした 僕は 僕の帰らされる駅へと 
それから 今日したことを きっと 頭の中で忘れたのだ 




自由詩 釣り、夕暮れ Copyright 番田  2018-04-30 23:46:45
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