涅槃像のハミング
狩心

ヘヴィメタルを聴きながら豚足を食らう

見晴らしのいい場所の
お墓に入ると君は言うが
死んだ後、墓の中になんか住みたいか?

爆轟でさ
お前の母ちゃん出べそでさ
爆轟でさ
お前の母ちゃん本当に出べそでさ

ちょっと失敗しちゃったんだと言う
愛するものを切り離す時に
美的感覚的にちょっとだけ失敗しちゃたんだと言う

おまえ、本当に平凡な中年になってしまったなと
同級生の超問題児の連続殺人犯に昨日
刑務所の面会室で言われて半ば強引に接吻された

高速で走り出す音楽に高速で震え出す肉体
溶けたのはカイワレ大根でした
おれの中のか細い芯がほろ苦い新鮮さをシャキシャキとして

借金はケツの穴に封じ込めた
洗わない洗濯機は轟音と共に自決した
ガラン、ゴロン、ゴロ、ガランと
時計の針がおまえを湯船に浸からせる
いいんだよ、そのままでそこで、HOTゆっくりしてて

おまえ、昨日死んだ地下室の名探偵
やめるべきだった家の中に野犬を10匹忍ばせて
友人がハッピーバースデーのサプライズに訪れてドアを開けると
嚙み殺されて食い散らかされて骨になってしまうトラップを

あ、そういえばこのストラップ
豚足じゃなくてお前の足だった

携帯電話を口に入れながら君と通話している
満員電車で座っているおれの横に誰も座ろうとしない
その空間がまるで
神が奈落の底に落とされた
炭酸飲料の気泡立ち昇る海底都市の
古代アトランティスの黄金の
会話が保管されている
しかし言葉はすべて気泡になって
波紋漂う水面に触れると
たちまち空と一体化して 〇△×

しまいにおれは電車内の座席に横になって寝始めた
「すいません。今から古代アトランティスにワープするんで」


自由詩 涅槃像のハミング Copyright 狩心 2018-04-27 17:25:52
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