家出
藤鈴呼


甘えた時代に
少し 気に喰わないことがあって
一度 飛び出す玄関と
覚悟の上での旅立ちは
随分と 意味合いが 違うね

門出の言葉を思い起こせば
何時の日も 正月飾りが浮かぶけれど
約束された未来など 何もないこと
部屋の隅では飽き足らなくて
押入れの隅で 蹲るのか
街角で吠えるのか
新たな住処を探すのかによっても
代わって来るから

変えられる人生と
還られぬ想い
植えつけた種が 幾歳を経て
大木に育ったとて
花は咲くまい

ひらり
舞い落ちた胡蝶蘭は
とても優雅で
一枚だけ 置き去りにされた鉢の上
少し 涙の染みを残して
彷徨っている

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自由詩 家出 Copyright 藤鈴呼 2018-04-27 10:52:25
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