紅葉ブランケット
藤鈴呼


本日の糸魚川は風が強くてね
雨模様なのだけれども 粒が大きい

ともすれば
アラレにも見えそうな雰囲気だけど
まだ透明

山側の庭園を出る瞬間に
ふと息の白さに気付くみたいに

晩秋は穏やかな時の流れを
作り始める

枯葉は遊ぶ くるくる回る
もう何度も そんな季節を通り過ぎた

秋に産まれた私は
何時までもオータムを抱きしめる

どんなストールよりも愛おしい
ブランケット代わりになるシートはやはり透明
流行りの模様は一切ついていないシンプル

看板がお辞儀をしているような車内
違うの 姿見なんです、と君

くるり振り返り ふわり残り香のよう

降り始めた粒を これ以上 振り払わずに済むように
傘も持たぬ両手を差し出して ここでお別れ

後ろから見送っているから サヨナラは言わない
キラキラの光越しに いつかのワタクシが映る

湖面に描いた逆さまの枝よりも伸びた心で
次の春をも 包み込んで 生きるのでしょうね

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自由詩 紅葉ブランケット Copyright 藤鈴呼 2018-04-26 13:44:30
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