冬と光柱 
木立 悟







水が水辺を踏みしめる音が
葉と葉のはざまに響いている
終わらぬことを表わす文字が
冷たい場所に冷たく残る


闇が指にひらかれ
光が枝に割れるとき
水は分かれ 分かれ分かれて
重なる手のひらに廻りまたたく


穴の無い柔らかな仮面を
幾つも幾つも喰い破ってきた
河口が河口に崩れる音を
幾つも幾つも幾つも見てきた


ふいに現われ
去る群れのなかに
海の娘や獣がいて
かわるがわる夜を歌う


冬は常に
近づき 離れ
ぶつかりつづけ
雪紋の地図を左目に吹く


明るさは増し暗さは増し
夜はさらに遠く高くなり
万の華 はざま 
空のむこうに廻りつづける


























自由詩 冬と光柱  Copyright 木立 悟 2018-04-18 20:44:14
notebook Home 戻る