花形創一郎
狩心

読み手に渡ってこそ詩になると
言う人がいるが、
そんなことはない

読まれる前、いやむしろ書かれる前からそれは詩だったのだ
詩は、お前の中、または外の世界に散らばっている、
読み手が感じたものは、そいつのものでしかない
そんなこと知ったことか、勝手にしろ


お前は親善試合で木刀を構える
おれは古く錆びた鞘からピッカピカの真剣を抜き出し構える
ルールが違うだ? そんなこと知ったことか、
お前は30人に分身する、
ちょちょっと、待って、えへへ。そりゃないよ ずるくない? テヘペロ
そんなこと知ったことかぁ!

バッサリと切り捨てられるおれ

キモチイイ

みねうちじゃ、

アザーっス! あーりがとぉー ございま スール

そうやって親善試合は 桜咲く満開の頃
それに負けないくらいの 無数の笑顔満開で
福笑いが300人 ぞろぞろと記念写真のように
集合写真のようにぞろぞろと、体を小刻みに震わせて
こちらを見てくる  こ、怖いよ、



花形創一郎
彼は江戸時代の剣豪で詩人、
刀を抜いたことはあるが、誰一人切り捨てることはできなかった
一編の詩も書き残さなかったド阿呆

しかし皆、彼を

詩人と呼んだ




自由詩 花形創一郎 Copyright 狩心 2018-04-10 12:57:59
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