不慮の自己
狩心



肛門

自分の首から上を取り外して
体を四つん這いにさせてじっと
□(シカク)が発生するまで
眺めてみたい

今まで本当にお世話になったな
一番汚いことをお前に押し付けて
お前の苦労を考えたら
おれの苦労なんか




内戦地域に降る雪の結晶
茹る場所も凍える場所も差別なく
この結晶が降り続く限りは
戦いを止めにしないか

*は降り続ける
*が止みそうになると
優しき平民は自殺して空に昇り
数百の*を降らせてそして
完全に消え去る

「ママ、死んだあの人の肛門が降ってきたよ。」
「お世話になるわね。ママもいずれ肛門になるわ。」


迷路に入った少年は幼い頃
汚いホームレスに教えてもらった
壁に左手を這わせて歩いていけば
必ず出口に出るよという言葉を
思い出していた


平和な国の誰もいない部屋でひとり
裸になって笑いながら踊る
社会不適合な病的理解者


絆はどこかしこにもあって
問題提起は無数に生えていた

誰一人 ひとりでは生きれなかった

春、
始業式で校門を通過する聖徒たちが
口をそろえて言った

「嫌な予感がする、とてもとてもnagai旅で
 ダビデ像が石になって巨人と戦っている。
 石の彫刻は元々石だったわけじゃなく
 自ら望んでその、静止する意志を選んだんだ。」


4次元の祈りが終わると
3次元が現れて
その3次元を2次元が食らって
2次元が2次元同士で共食いをして
ぽつんと1次元になる

無性に腹が減った
*は記号であることをやめ
移り行く生き物であることを選んだ


せめて△や〇であればいいものを
放射状に無限に伸びていくその様はまるで

全ての優しさに飽きた悪魔
そのものだった

仮想現実と現実の境界線はなくなり
無生物と生物の境界線はなく
あなたとわたしの境界線はなく


わたしは*を神で拭く時
あなたの夢を思って
なんとも言えない気持ちになる


ああ面

消化されないメンが垂れ下がり
手を伸ばしていたのに
わたしはそれを
断ち切ってしまった

断罪

自分の首から上を切り落として
じっと *を
眺めていたい









自由詩 不慮の自己 Copyright 狩心 2018-04-10 12:04:05
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