寂寥感
桜木 ハル

縛られちゃったんだ
この雁字搦めの世界で
縛られちゃったんだ
常識とかいう概念にさ
忘れちゃったんだ

透明を刺したあの人も
忘れちゃったんだ
私を殺さないあの人も
消えてしまったんだ

あんなに好きだった気持ちさえ
消えてしまったんだ
跡形もない大切な場所さえ
失くしてしまったんだ
あんなに忘れないと誓った言葉も

失くしてしまったんだ
失くしてしまったんだ

忘れて自分で壊して捨ててしまった
透明を刺したあなたさえ
私を殺さないあなたさえ
きっと忘れていったんでしょう

二度と戻らないと知っていてさえ
どうしてこんなに焦がれるんだろう
二度と手に入らないこと
どうして悲しいとさえ思えないのだろう

今の気持ちさえ忘れてしまうことだけ
何故悲しいと思うのだろう


自由詩 寂寥感 Copyright 桜木 ハル 2018-04-08 07:32:34
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