消える 残る
木立 悟





花の樹に重なり径はつづき
風と暗がりを手招いている
花の色とは異なる光が
わずかにわずかにこぼれつづける


径を飛び 径をくぐり
霧のかたちのむこうを浴び
涙の花 声の花
見るもののない径に迷う花


暗がりをつなぐ鎖
樹のかたちの火
転がる時計を照らす光
土に残る冬の名前


欠けても欠けても補われ得ない
終わらぬ呪いを
終わる呪いに変える日々
辺から辺へわだかまる昼


光から離れた光の術が
花ではない花になるとき
斜めに広いくちびるが
別れの波を伝えはじめる


消えるもの 到かぬもの
触れ得ぬものにのばされる手に
曇は 色は
影は降りしきる
























自由詩 消える 残る Copyright 木立 悟 2018-04-03 09:18:10縦
notebook Home 戻る  過去 未来