童話の指輪
田中修子

新宿の伊勢丹の
いいお店で働いていたときに

うんとお買い物してくれたおばさまの
ぜんぶの指にひかる指輪みて
がっかりしたの

わたしの中には
スニフの落ちたガーネットの谷から拾い
長靴下のピッピのお父さんのくれた金貨溶かして

金にガーネットひかる
うんとしっかりくる指輪がとっくに
どっかにあって

働いてお金ためて買いたかったが

(なぜだか王子様がやってきて捧げてくれる
予感はなくて)

どうもそんな指輪はこの世にないと
気づいてしまったときだったのよ


自由詩 童話の指輪 Copyright 田中修子 2018-03-25 16:21:06縦
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