もとこ

気がつけば部屋の中に
砂が入り込んでいる
どんなに固く扉を閉めても
少しずつ床に積もっていく
朝に目覚めれば枕の上にも
細かい砂が散らばっている

(いったい何だっていうのよ!)

支えきれない現実に泣けば
涙の代わりに砂がこぼれる
悲鳴を上げようと開いた口から
さらに勢いよく砂が吹き出す
アタシの身体の穴という穴から
キラキラ光る砂が流れ出し
部屋の中を満たしていく

(ねぇ、どうして、アタシが?)

その答えを見つけるには
あまりに頼りない砂の脳髄
そしてすべてが終わった後に
見知らぬ訪問者が扉を開けば
一陣の風が部屋を吹き抜けて
アタシを彼方へと連れ去っていく


自由詩Copyright もとこ 2018-03-23 23:12:24
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